2021年上半期でよかった新刊マンガ10選+α
アジで勢いつけて真夜中に一気に書き上げないとブログやれなくなった。レギュレーション十選切畑水葉『阪急タイムマシン』(BRIDGE COMICS)(単巻完結)伊奈子『泥濘の食卓』(バンチコミックス)(連載)幾花にいろ『あんじゅう』(楽園コミックス)(連載)ナガノ『ちいかわ...
View Article予告された死は喜劇か悲劇か問題――『100日間生きたワニ』について
映画を観たのだから映画の話をしろ。映画の話をします。 誰が自分自身にこんな誓いに立てるでしょう。「わたしは死を見るにも、喜劇を見ると同じ目で見るだろう……」 ――セネカ「幸福な人生について」...
View Articleひさしぶりだな、俺だ、今 VRChat にいる。おまえはどこに?
あっちこっちへ 余計な話が多い まるで聞いた話が全部右から左に流れていくように 興味が持てん ――『邦キチ!映子さん』Season 7 第八話 はじめに忠告しておくけれど、このテキストは長く、一貫性を欠いており、有益な知見も含まれていない。帰ってくれ。Gunkanjimaverse より。軍艦島を原寸大で再現したワールド。あれは2019年のことだった。...
View Article同じ人が書いたSFを読む。――『圏外通信 2021裏』『〈未来の文学〉完結記念号 カモガワGブックス vol.3』
「本の話をしよう。お前の書いた小説を読もう。」 江波光則『密葬 -わたしを離さないで-』「まず、おたがいに本音で話しあおう」とホロ映像がいった。「だれだって本を読むのは好きじゃない。そうだろう?」 トマス・M・ディッシュ、浅倉久志・訳「本を読んだ男」”まえがきや序文というのは誰も読まないらしい。”『圏外通信...
View Article黒い太陽の中心を制御する黒い太陽の中心――『stikir』、『OMORI』、『Milk inside a bag of milk inside a bag...
眠りに落ちる前の最後の九分間がいちばん好きだった。 現実と幻想が交錯する瞬間を待ち望んでいた。その一瞬のために起床し、一日を生き抜く。私のいちばんの夢は一日じゅう眠ることだった。実現したらなんとすてきだっただろう! でも、その夢はゆっくりと、しかし確実に、失せていった。まるで誰かが私の頭の中をあさるように、何も残らなくなるまで、すこしずつ……。...
View Article2021年の新作ベストゲーム10+やった新作+良かった旧作
あけおめ。とりあえず、2021年のまんがと映画とゲームのベスト記事を出したいとおもったのですが、このうち早めに出すことの公益性が高いのはゲームだなと判断したのでゲームからやります。ほら、まだ steam のセールやってるしね。以下、「2021年に steam で正式リリースされたゲーム」と「2021年に邦訳されたゲーム」は新作扱い。新作ベスト101.ENDER...
View Article2021年のマンガ新作ベスト10+5+7+5
序【2021年に第一巻が発売された継続連載作】ベスト10『ちいかわ なんか小さくてかわいいやつ』ナガノ『FX戦士くるみちゃん』原作・でむにゃん、作画・炭酸だいすき『ムシ・コミュニケーター』ムネヘロ『すぐに溶けちゃうヒョータくん』戸倉そう『ディノサン』木下いたる『ムサシノ輪舞曲』...
View Article2021年の新作映画ベスト10+α
序新作映画ベスト101.『キャッシュトラック』(ガイ・リッチー監督、米英)2.『偶然と想像』(濱口竜介監督、日)3.『ライトハウス』(デイヴ・エガーズ監督、米ブラジル)4.『プロミシング・ヤング・ウーマン』(エメラルド・フェネル監督、米)5.『恐怖のセンセイ』(ライリー・スターンズ監督、米)6.『マリグナント』(ジェイムズ・ワン監督、米)7.『劇場版 少女☆歌劇...
View Articleかわいいゾウさんを撃つーー『It Takes Two』について
*本記事には『IT Takes Two』についてのネタバレが含まれています。*1しかし私はその象を撃ちたくなかった。草の束を膝に叩きつける象を私は見つめた。象は何かに没頭している老婦人を思わせる雰囲気を持っていた。象を撃つことは謀殺のように思われた。 ーージョージ・オーウェル「象を撃つ」(Haruka Tsubota 訳)store.steampowered.comゾウは忘れられない...
View Article2022年1月の新作まんがベスト10+5
あけましておめでとうございます。 以下は、2022年の一月に第一巻が発売された新作まんが10選と、同じく2022年に発売された単発長編・短編集5選です。 基本的にはおもしろいと感じた順にならんでいるものと思し召しあそばせ。 よくある質問: Q.来月もやるの? マンスリーでやるの?...
View Article第94回アカデミー作品賞候補作の(ほぼ)全所感。
今年に入ってから映画の感想をブログに残していないことに気づいたのでよくないなーとおもったので、時期も時期もだし、アカデミー賞の作品賞候補になっている十作品のうち、日本で公開済みの九作品についての感想を書いておきます。正直、そこまで興味持てなくて関連情報も掘ってない作品ばかりなので、表層的なことしか言えませんが。以下、好きな順。『ナイトメア・アリー』(ギレルモ・デル・トロ)...
View Articleフィギュアスケートまんがにおけるジャンプ時のコマ送り表現について。
フィギュアスケートまんがを読んでいると、どの作品にもある演出が共通して描かれることに気づきます。 それが「ジャンプ時のコマ送り」。(『メダリスト』つるまいかだ 『アフタヌーン』連載) このようにジャンプの回転を連続写真のように、ひとつの画面の中におさめ、表現する手法です。 これがまあフィギュアスケートまんがには必ず一回は出てくる。確定で出てくる。確定演出ってやつですね。...
View Article『文体の舵をとれ』合評会の運営についてのメモと、人類の進歩と調和
序 昨夏から『文体の舵をとれ』の課題を Discord 上で集まってわいわいやっとりました。 本書は『ゲド戦記』などで知られるファンタジー・SF作家のル=グウィンがあなたの文体を鍛えてくれる創作指南本であり、全十章からなる課題をクリアすると最強の文体が手に入るとも、ル=グウィンが闇のパワーを得て復活し、あまねく蒼穹を竜と恐怖のもと支配するようになるともいわれています。こわいですね。...
View ArticleORGANISM という未来の廃墟に行った。ーーVRChat紀行
>> 廃墟というのは裏返しの未来にすぎない。 -ウラジミル・ナボコフ << ORGANISM いままで行った vrc のワールドでトップクラスによかった。 pic.twitter.com/iJZ1KhpE2Q— 集 (@uraq_) 2022年5月21日 エメラルドの鹿に導かれて電話ボックスから出ると、そこは誰の記憶にもない中庭だ。...
View Articleあこがれを吸い寄せる虚空――『虚空の人 清原和博をめぐる旅』について
長島は英雄だった。難しい理由は必要なかった。子供にも即座に理解できる英雄だった。長島になりたかった。野球選手になって長島になりたかった。たとえ野球選手にならなくても長島になりたかった。 少しずつ自分は長島でなく、長島になれないのだということがわかってくる。しかし、高校生になり、大学生になっても、心のどこかに長島になることができたらと思いつづけてきにちがいない。もし長島になれたら……。...
View Article文字と声と亡霊たちの天国――『ディスコ・エリジウム ザ・ファイナル・カット』について
「けど、”ディスコ”・エリジウムでしょ……。おかしくないかしら? ディスコは過去のもの、忘れられたものでしょう?」「過去は未来だが、未来は死んでいる!」 ――『ディスコ・エリジウム』 『ベイビー、あんたが探してんのは結局あんた自身なのよ』 ――舞城王太郎『ディスコ探偵水曜日』(新潮文庫) Disco Elysium...
View Article引用のためらい、パロディのあわい――岡田索雲『ようきなやつら』について
(本記事は岡田索雲『ようきなやつら』のネタバレが含まれています。といいますか、すでに読んでいる読者向けに書かれていてネタバレすらすっとばしているところがあります。ご注意ください。)(ネタバレなしの紹介としては↓でV林田氏がこれ以上ないものをやっているのでそれ読んで)manba.co.jp「忍耐サトリくん」のパロディ「猫欠」のオマージュ「追燈」の引用 歴史を書くとは、歴史を引用することである。...
View Articleゲームの夢、映画の魔――『IMMORTALITY』について
(本記事は本ブログに珍しく、あまりネタバレが含まれていない。ちょっとはあります) 君という光が私を見つける 真夜中に...
View Article2022年の新作映画ベスト10とその他:第三期ピークTVの時代、あるいは犬の年
前説新作映画ベスト101.『戦争と女の顔』(カンテミール・バラーゴフ監督、ロシア)2.『アンビュランス』(マイケル・ベイ監督、アメリカ)3.『ブラック・フォン』(スコット・デリクソン監督、アメリカ)4.『NOPE』(ジョーダン・ピール監督、アメリカ)5.『ニトラム...
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