あけおめ。
とりあえず、2021年のまんがと映画とゲームのベスト記事を出したいとおもったのですが、このうち早めに出すことの公益性が高いのはゲームだなと判断したのでゲームからやります。ほら、まだ steam のセールやってるしね。
以下、「2021年に steam で正式リリースされたゲーム」と「2021年に邦訳されたゲーム」は新作扱い。
- 新作ベスト10
- やったゲーム(新作編)
- だいたいわかった
- Happy Game
- TOEM
- Kaze and the Wild Masks
- Skul: the hero slayer
- qomp
- Cucchi
- 1f y0u’re a gh0st ca11 me here!
- Twelve Minutes
- Voice of Cards ドラゴンの島
- World’s End Club
- A YEAR OF SPRINGS
- Deltarune(Chapter 2)
- Cookie Clicker
- アイドルマネージャー
- ビビッドナイト
- Loop Hero
- NUTS
- First Cut
- ElecHead
- Dogs Organized Neatly
- Road 96
- ZookeeperWorld(iOS)
- HoloVista(iOS)
- Mini Motorways
- POKEMON UNITE
- クレヨンしんちゃん 『オラと博士の夏休み』 ~おわらない七日間の旅~
- 探偵撲滅
- 桃太郎電鉄 ~昭和 平成 令和も定番!~
- まだ判断できない
- 旧作(十分に遊んでおもしろかったやつだけ)
新作ベスト10
1.ENDER LILIES
実はまだクリアしてません。数時間やった時点でもうこれベストでええやろって気分になり、ベストになりました。
いわゆるメトロイドヴァニア。世界観はダクソ風味で戦闘の難易度もそれなりに高い。でも理不尽に高すぎないあたりがちょうどいいというか、こういう洗練されたレベルデザインがイマっぽい。
でもなんといってもすばらしいのは物語と世界観ですよね。
主人公がほとんどなにもわからない状態で怪物だらけの世界にほっぽりだされるところからスタートするわけですが、冒険を進めていく過程でだんだんと世界やそこにいたひとびとの物語の断片が提示されていく。だいたいは悲劇的でありつつも、人と人とのつながりが確かに感じられて、たいへんに切ない。すごいエモい。ぎりぎりソウルライクといってもいいようなゲームだけれど、世界観のテイストはどちらかといえば『Momodora』や『Minoria』に近いでしょうか。クリーチャー化したシスターとかがガチで殺しにくるやつ。
パブリッシャーの Binary Haze Interactive は、『ルーンファクトリー』シリーズなどをてがけいた故ネバーランドカンパニーの元社員が立ち上げた会社で、インタビューなどを管見するかぎり、結構開発にもコミットしているようですね。本作はそのパブリッシングタイトルの第一作。ドワンゴから派生した Why So Serious(『NEEDY GIRL OVERDOSE』とか) などと同じく、今後の日本のインディーゲームシーンを占っていくパブリッシャーとなっていくのではないでしょうか。
2.Inscryption
今さらなんか言うことある? ってくらい去年バズったデッキ構築型カードゲーム&アドベンチャー。
そもそもわたし、「ゲームマスターや対戦相手がゲームの盤外にいて、そのことを常に意識させられる」系のビデオゲームに弱いんですよね。そんなジャンル化するほどあったっけ? って、まあ、ほとんどなくて、今想定してるのはステッパーズ・ストップの『くもりクエスト』なんですけれど。
で、インスクリプションでは「盤外にも世界があること」がフレーバー程度ではなく、ちゃんと演出的にも効いています。たとえば、カードゲームで対戦するときのライフはなぜか歯をトークンとして用いているわけですが、ということは切羽詰まったらペンチで自分の歯を抜くとライフを増やせる!
正気か?
ダークでウィアードな雰囲気とゲーム性とメタ要素が見事にからまった白眉なシーンです。
そして、対戦相手に一個の人格(まあストーリー的には人間ではないんですが)があることがこれまたストーリー的に大変重要になってくる。飛び道具を使っているようでいて、「ゲームのキャラにどう親しみを持たせるか」という難問を巧みに攻略していて、ダニエル・ミューリンズはインディー随一のストーリーテラーなのだなと再確認させられました。そんな、やろうと思えばいくらでもウェルメイドに作れる手腕を持った人物がよりによってこんなヘンテコで噛み砕きにくいお話を作るのが、作者の自意識が直に反映されるインディーゲームの魅力でもあるといいますか、これが楽しみで steam セールで無限にゲーム買って一生積んでるんだよなあ、というおもいです。積むなよ。はい。
ミューリンズはほんとうに変な自意識を持ったゲーム開発者なので、そこが能く現れている前作 the hex もぜひ翻訳してもろてミューリンズの変さを日本語圏にも知らしめたいところですが、どうですか、日本のパブリッシャーのみなさん?
3.Death's Door
死者の魂を刈り取って捕獲するおしごとをしているカラスさんが飛んだり跳ねたり剣を振り回したりします。あとなんか人間の身体を乗っ取って歩行するようになったイカと深夜にデートしたりとか。ハイ、このコンセプトの時点で優勝。V9。永遠に不滅です。
「死神ゲーにハズレなし」が常識となって久しいインディーゲーム界隈ですが、本作はわけても傑作です。
ジャンルとしてはゼルダライクを軽く3DにしたようなアクションRPG&パズル。謎解きそのものはオーソドックスで間口が広い*1つくりで、戦闘も心地よい歯ごたえがあるくらい。あの 『Titan Souls』*2のディベロッパーだけあって戦闘まわりについては警戒していたのですが、ボスの行動パターン把握もさほど難解ではなく、マップ上に適度に配置された回復ポイントのおかげで探索のストレスと達成感がうまい具合にバランスされています。
ややローポリめのかわらしくもダークなビジュアルも見どころで、そこで語られる生と死、そして労働の物語はジャンル相応にしつこくない程度でありながらも、たしかにプレイヤーの心に余韻を残します。ボス戦ごとに倒したボスのお葬式をやるゲームって他になくないですか?
Inscryption と同じく Kakehashi Games がてがけた翻訳も見事。2021年度の同社は Inscryption、Death’s Door, Eastward, There Is No Game: Wrong Dimension, My Friend Pedro: Ripe for Revenge, GenesisNoirといったタイトルをてがけており、もはやこの会社が翻訳したゲームを買っておけば翻訳の質もゲームのクオリティも間違いないという域です。Half-life: Alyx の翻訳も任せられた経験もありますから、もはや Valve 公認といっても過言ではない。
4.Milk outside a bag of milk outside a bag of milk
ロシア人の書く憂鬱な文学はもはや紙の上には存在しません。その亡霊たちの主戦場はネットとなり、そしてゲームとなりました。
メタフィクション的な手法は、ときに基底現実の優位性を無意識の前提として機能します。その前提はもはやわたしたちの時代精神にはそぐわない。『マトリックス』の最新作がなぜあんなにも色褪せてみえたのか。それは、2020年代のわたしたちがもう「現実」の優位性など肌感覚で信じなくなってしまったからです。
かなしいことにウォシャウスキーズを始めとしたほとんどのクリエイターたちは、その事実に気づいていません。この地上で真理に至った作り手は、そう、Nikita Kryukov、本作の開発者のみです。
『Milk〜』シリーズにおけるプレイヤーは、主人公によって想像された存在であると同時に主人公とは別個に実在もしている。あなたはゲームと基底現実のどちらの世界にも属していると同時に属していない。ではどこにいるのか、といえば、『Milk〜』の世界しかいる、としかいいようがない。
筒井康隆がかつて主張した超虚構はここにおいて、といいますか、ここにおいてのみ完成しました。
twitter、note、instagram、YouTube、tiktok、ありとあらゆる紙の書籍、映画館、テレビ、そういった場所で与えられる気分はすべて偽物です。わたしたちのほんとうの気分はここにある。ここでだけ、わたしたちは安らかに眠ることができる。
5.Hades
ローグライトはストーリー性に薄いもの、という固定観念を巧みなストーリーテリングによって打破したエポックな一作。
その方法がローグライトの周回の要素を「道中集めたアイテム(ポイント)をキャラに貢いで親愛度を高める」という、どこぞの十二股(十六股だったっけ?)RPGみたいなシステムをもってしていて、思いつくんだろうけど、よくやったなあ、という印象。それが無理やり出ない印象なのは、ベースがギリシャ神話というそもそもが断片的な物語であり、ゲーム内でもキャラがひとりひとりちゃんと立っているからでしょうか。
難易度はそこそこありますが、周回によるスキルアップや武器の取替によってハードルがかなり下がりますし、逆に高難易度を求める向きには公式の縛りプレイ機能(かなり詳細に各要素の難易度をいじれる)も用意されています。
イヌを撫でられます(ケルベロス)。
6.OMORI
待った。とにかく待った。待っただけの甲斐があった。
といっても、そこに至るまでにはいろいろありまして。九月の Playism のショーケース番組が Vtuber?のなんかのゴタゴタで潰れてしまい、まあそれ自体は別にどうでもよかったのですが、そこでアナウンスされるはずだった OMORI の日本語版の進捗報告がどこかへと消えてしまい、リリース予定が未定のまま更新されなくなったことにブチキレたわたしは十一月の終わりごろに原語版を勢いだけにプレイしました。で、クリアしてよかったなあ、と噛み締めていた十二月上旬になんの前触れもなく日本語版がリリースされました。よかったね。まあ、よかったんですけど、なんだろうなこのなんともいえない仄暗い気持ちは……。
内容の話をしましょう。といっても、一歩踏みこんだらネタバレポリスと化したファンたちから袋叩きにされるのでなんもいえねえな。
実はこれ、Milk outside a bag of milk outside a bag of milk と似てるんですよね。いや、鬱病やメンタルヘルスを扱っているから、ってだけなくて。
Milk outside a bag of milk outside a bag of milk の主人公は自分のいる世界をあるジャンルのゲーム(この場合はビジュアルノベル/ポイント・アンド・クリック・アドベンチャー)として捉えていて、プレイヤーの前に展開される画面もそういう彼女の世界観に沿ったインターフェイスで表現されています。
OMORI はそれに似ているというか逆というか、(J)RPG的な様式を通して主人公のトラウマに立ち向かっていくんです。たとえば、トラウマの化身を前にした主人公は、特殊な状態異常にかかってろくに行動ができない。そこでただ「たたかう」とか無闇に選択しているとダメで、「おちつく」みたいな自分の心をなだめるコマンドを選ぶことでゲームが進行していくんです。そういうセルフヘルプの過程がRPGの戦闘画面で展開されていく。
OMORI は空想の世界と現実の世界という二つの世界があって、主人公はそのあいだを行き来していきます。前者の世界ではいかにもRPG的な物語が繰り広げられて、戦闘でも主人公はナイフを振り回して敵を倒したりしていく。一方で、主人公は現実の世界にもいやいやながら参加していくことになります。そして、そこでもナイフを握って「RPG的な戦闘」を行うことになるのですが、いかにも強そうなヤンキー女に攻撃を加えると一発で勝ててしまう。そして、言われるのです。「ナイフで切りつけてくるなんて、おまえ、頭おかしいんじゃないのか!?」
すなわち主人公はRPG的な世界とインターフェイスを持ち越したまま現実を生きている人間であるとも解釈できて、そうすることで彼は現実から距離をとっている。でも、そうした逃避的なフィルターのまま動くと現実と齟齬をきたしてしまう。そこをどう乗り越えていくか、という話であるようなないような。
RPGツクール系最後の傑作だと思います。おすすめです。
7.ウイニングポスト9 2021*3
アンシャスオーバー(芦毛、2014年生 主な勝ち鞍:さきたま杯、京都牝馬S、函館スプリントS)2035年のインタビュー。ネマホースパーク北海道(静内)にて。
――デッちゃんのことならよく憶えています。わたしの一歳下でね。とねっ子のころは華奢で儚げで、あんな仔が走るのかねえ、とかハウスのおばさま(ネマポーターハウスのこと。アンシャスオーバーの母の半妹)がたがよく噂してましたよ。
この世界でひとつ違うとアレですし、私はオープン馬になったのも三歳の暮れといった調子でしたから、トレセンに移ってからはほとんど会う機会もなかったです。あの仔はほら、パッと出てきて三冠牝馬でしょう? エリザベス女王杯まで穫っちゃって。10年ぶりくらいじゃなかったかな? ブエナビスタ以来の四冠牝馬だって世間は大騒ぎ。さえないオープン古馬からすれば、もう別世界の住民です。
嫉妬というか、憧れというか……うーん、同じ牧場の出で、しかも牝系も同じ(グリトグラ系)ですし、見上げて応援する気持ちしかなかったな。スーパースターですよ。
もちろん有馬はキングカッターを打ち負かしてほしくてテレビで観ていました。ダイワスカーレットや(ネマ)クインさんの居たときみたいな牝馬全盛の時代がまた来てほしいなって。
ほら、わたしら、(ジェンティル)ドンナさんやブエナビスタの走ってた時代も観てないじゃないですか。有馬や凱旋門で牝馬が勝ってた時代があったんですよ。って、それは記者さんのほうが詳しいか。へえ、現地で観戦したの? いいなあ……。まあでも……なんの話でしたっけ?
……そう、18年の有馬記念。
キングとデッちゃん。牡牝の同年三冠馬同士の直接対決だって、派手に盛り上がりましたよね。パドックでもデッちゃんの深い黒鹿毛がつややかに輝いてて、きれいだった……。それがあんなことになって。
あれから勝てなくなって、「やっぱり牝馬は牡馬には勝てない」「デッドサイレンスは三歳で終わった」なんてマスコミに陰口叩かれて、特にコースポなんて……すいません、記者さん、コースポの方でしたっけ。
でも、大阪杯なんて2着だったんですよ。それもキングカッターの2着だったから、ある意味しかたなかったんでしょうけれど。
やっぱり決定的だったのは、19年のヴィクトリアマイル。サニーマニアに負けたでしょう。
直前までずっとGIの勝ち鞍がなかった穴馬ですよ。それで、「牝馬限定戦でも勝てないようならデッドサイレンスはもう引退すべきだ」なんて言われて。そう、コースポが。
そこからはGIIでもボロ負けしだして、わたしもああもうダメなのかな、って勝手にさびしくなっていました。
そしたら11月にエリザベス女王杯連覇でしょう。大復活。さすがです。あれは感動したな。
そのころの私ですか? ダートと芝に交互に出てはGIIIでやっと勝ち負けって感じでした。やっぱりアレとは全然違う世界の馬(ひと)ですよね。デッちゃんはずっと牝馬代表として王道路線でやっていくんだって思っていました。そしたら翌年のフェブラリーSに来たでしょう。
え? ダート? って、まあ、記者さんもびっくりしましたよね。私たちもびっくりです。
私の陣営の人たちも直前まで「フェブラリーで勝ったら次はドバイだ」なんて冗談めかしてましたけど、すべりこみでデッドサイレンスが登録したと聞いて固まってました。モノが違うのはみんなわかってたんです。
でも、世間の人はそんな雰囲気なかったんじゃないかな。ずっと芝でやってきた馬がいきなりダート挑戦ですからねえ。ダートの馬たちも怯えつつも負けないぞって意識だったんじゃないかな。私は芝もダートも半端でしたから、ダートにそんな思い入れないですけれど、それ一本の馬たちには矜持っていうものがあります。
で、府中に行くと、案の定デッちゃんにやたらつっかかってる馬がいる。
ゼニマックスでした。気持ちはわからないでもないかなあ。目の上のたんこぶだったゼニハメハちゃん(ネマゼニハメハ。2019年度ダート代表馬。ゼニマックスの半姉)が引退して、やっと自分の時代が来ると思ってたら四冠馬がテリトリーに乗り込んできたんですからね。四歳といっても二月の四歳でしたから、仔どもですよ。
なんて言いがかりつけてたかな。芝で勝てないからってダートに来るな、とかそんなことです。
デッちゃんは澄まし顔で馬耳東風といいますか、完全にゼニマックスを無視していましたから、それがますます気にさわる。
デッちゃんは昔からぶっきらぼうなところがありました。そこがまた誤解というか、カチンと来るんでしょうね。話せば気配りのできる優しい仔だとわかるんですけど。
レースの直前でしたし、お互いに気が立っていた。
見るに見かねて年長の私が仲裁に入りました。といっても、猛るゼニマックスをなだめただけですけれど。
で、ようやく落ち着いたかなーってころになって、デッちゃんがぽつりと「あたしも来たくなかったよ、こんな煙っぽい場所」と漏らしちゃって。
これでゼニマックスだけじゃなくて他のダート馬全員敵に回しました。私もちょっとカチンときた。それで、ぶっちぎりに勝っちゃうんだからなあ。
敵わない、とあらためて思いしらされました。
でも、あのフェブラリーステークスでの2着が私のベストレースだった。私なんて、ゼニマックスにも先着できる馬じゃなかったんですよ。でも、デッちゃんの背中を必死で追いかけていくうちに……なんというか……自分以上の力が出せたっていうか……たぶん、あのレースでの私が自分史上最速の私でしたね(笑)。
なにより楽しかった。私、走るのそんなに好きじゃなかったんです。ダートはね、特に。
でも、あのフェブラリーステークスだけはめちゃくちゃ楽しかった。爽快だった。
あんまりに楽しかったから、レース後に圭太くん(戸崎圭太騎手)と菊川さん(菊川順平調教師)にまっさきに言っちゃいましたもん、「ドバイ出ましょう!」って。2着だったのに。気持ちよさで頭おかしくなってた。
たぶん、デッちゃんといっしょに走れたおかげだと思います。あの馬体がね、砂煙に映えるんですよ。とてもきれいなんです。そこは彼女がダートに来てよかったなって思いました。
あれから、一緒に走る機会はなかったけれど……。去年ぐらいまでアメリカにいました。引退後にネマファームのアメリカ牧場で繁殖にあげられたんです。ふだんならGI勝ちの馬じゃないと牡も牝もネマの牧場には残れないんですけど、当時は米国牧場ができたばかりで、牝馬も不足してたらしいですね。自分ではダートそんなに得意な印象ありませんでしたけれど、いちばん大きい勝ち鞍がさきたま杯ですからね。ダメもとって感じ。
まあ、やっぱり蛙の子は蛙ですよ。アメリカでも私の仔はGII止まりでした。それでもあの仔たちを誇りに思っていますけれど。
デッちゃんは繁殖でも牝馬三冠でしょう。母娘で三冠ってどれだけすごいんだって話で。
いや、帰ってきてからは会ってません。
あっちはまだ繁殖やってて、こっちはホースパークで接客業ですからね(笑)。
最後に話したのはアメリカ行った直後ぐらいだったかな。デッちゃんがアメリカ遠征に出ていた時期ですね。
珍しくあっちから近寄って話しかけてきたので、なにかな、って思ったら「ありがとう」を言い忘れていたとか言い出して。
なんのことかと思ったら、あのフェブラリーステークスのことでした。絡んでくるゼニマックスがとっても怖かったんですって。
女帝然としてたあの仔から「怖かった」なんて言葉が出てくるなんて想像もしなかったから、あのときは面食らっちゃったけれど……私も「ありがとう」って言い忘れてたな。
記者さん、この後デッちゃんにも会うんでしょう? だったら伝えといてもらえません?
アンシャスオーバーが「フェブラリーステークスのときはありがとう」って言ってたって。ああ、ドバイ? ボロ負けでしたよ。知ってるでしょ。コースポはやっぱり、いじわるだなあ(笑)
8.Exo One
store.steampowered.com
あなたは完全なる球体であり、転がることもできるし、重力に反発して浮くこともできる。
完全なる球体であるあなたはハイレゾで表情豊かな各惑星をめぐり、青い光を放つ柱を目指す。
それだけだ。
一応、背景のストーリーめいたものはある。
だが、重要なのはあなたが完全なる球体であること、そして、星々の風景が美しいこと、そのふたつだけだ。
要高スペックPC。
9.Deathloop
わたしは死ぬほど3D酔いしやすい体質で、特にFPSの3Dだと一時間もしないうちにゲロゲロに酔います。おかげで Outer Wilds も Hal-Life:Alyx もろくにできやしない。
それでもその一時間ずつを二十数日積み重ねて遊びつづけるくらいには Deathloop は楽しかった。まあ、さすがにIGN本家の10点満点は高すぎだとおもいますけれども。
ループしていくうちにちまちま情報や武器やスキルを集めていくのは愉しいですが、ある程度の強さになると後は常に地形や敵の配置が固定された狭いマップをあくびしながら回っていくだけになるので、明確に中だるみはありますね。幸いなことにそこまで長く続きませんが。
しかし、他にないファニーでユニークやノリやキャラに溢れていて、そういう世界にダイブするのは愉しい。同社の最高傑作である Dishonoredシリーズが肌に合わなかったぶん、なおさらそう感じられるのかもしれません。
そういえば、昨年は英語圏でゲーム・映像の両界隈でループ(SF)ものが目立った年でありました。映画の話は映画のランキング記事でやるとして、ゲームの新作では Twelve Minutes、Loop Hero。DLCでは Outer Wilds の Echoes of the eyes も出ましたね。一口にループものといってもジャンルや語り口が多様化していて、ループという現象をどう活かすか、というのに各自の知恵と個性が出ていておもしろい。ちなみにわたしのイチオシは旧作(2020年発売)になりますが、House です。この話はあとでしましょう。
10.戦場のフーガ
あれは十年くらい前の日本SF大会だったとおもいます。ちょうど『ソラトロボ』が出るか出ないくらいのタイミングです。サイバーコネクトツーのブースが出店されていて、なにがあるのかな、と覗いたらなんとリトルテイルブロンクスシリーズの次回作のイメージイラストみたいなのが展示されていたんです。そこには『ソラトロボ』や『テイルコンチェルト』のほがらかな世界とは隔絶した陰鬱な情景が描かれていました。
民族浄化を思わせる処刑の図、一様に暗い表情の戦時下のひとびと……。
「次のリトルテイルブロンクスはこれになります」とサイコネのひとは誇り高く宣言しました。
それから幾年が経ち、サイコネはジャンプキャラゲーの開発に定評のある企業として地位を確立し、かつてケモノに燃やした情熱などすっかり忘れたように見えました。
しかし、それはあくまでマーケット上でのこと。かれらはけっして初心を忘れてはいませんでした。裏(ネット)では高名なケモノ絵師たちを密かにかきあつめケモZINEを定期刊行するなど、一企業としてはとても正気の沙汰ではな……勇気ある活動を行い、”力”を蓄えていたのです。
そして、満を持してかれらは長年のパートナーであるバンダイナムコに提案しました。「ケモノゲーを作りましょう!」
バンナムは言いました。「ケモは売れないのでやめてくれ」
ふつうのディベロッパーならそこで諦めたでしょう。なにせ天下のバンナムのご意見です。「ケモは売れない」というのは何も感情論や印象ではなく、これまでの実績が物語っていた厳然たる事実だったのです。
ですが、サイコネはふつうのディベロッパーではありませんでした。
「じゃあ、自分たちでパブリッシャーもやります」
そうした心意気でできあがったのが、この『戦場のフーガ』です。
ケモゲーのサイコネ、復活。
この朗報に以前よりコネクションを築いていた各ケモ系クリエイターも馳せ参じました。ゲーム内のゲストイラスト寄稿陣のラインナップをごらんなさい。
『天穂のサクナヒメ』のキャラデザで一躍名をあげた ovopack こと村山竜大。
後期2000年代からすでに伝説と讃えられていたたとたけこと外竹。
あのコミカライズ版『ゼルダの伝説』の作者にして歴戦の古強者、姫川明輝。
「かわいい」と「エロい」は両取りできることを証明した現代のアインシュタイン、リコセ。
『東京放課後サモナーズ』の特攻隊長、樹下次郎……
とまあ、十年二十年前から斯界ではトップティアーに属していた神たちが集結したわけです。まるで十月の出雲大社の有様です。
いまいちピンとこないという方に喩えるなら、今週のジャンプに鳥山明と荒木飛呂彦と武井宏之が同時に掲載してされている、そのくらい衝撃的な豪華さでした。
そんなサイコネとケモ絵師界のありったけを込めて制作されたゲームにおけるリーサルウェポンが、
「4歳〜12歳のいたいけな少年少女を弾(生贄)にして発射される大砲」
だとは、誰が予想したでしょう。
っていうか、どうしたらそんなこと……いや、似たような兵器は『ブレス・オブ・ファイア4』でも見たけどさ。主人公側が使う兵器じゃないってば。
わたしたちはおもいました。
サイコネは狂ってる。
でも、ついていこう。
一生、サイコネについていこう。
そう、誓ったんです。
やったゲーム(新作編)
だいたいわかった
TOEM
store.steampowered.com
これもおもしろかった。写真撮影アドベンチャー。どっかのまんがで見たような主人公を始めとして、とにかく出てくるすべてのキャラクターがキュート。写真撮影ゲームだけあってゲーム内で取れる写真まわりの機能がいたれりつくせり(SNSに直にアップもできるよ)。
Kaze and the Wild Masks
未クリア。これもおもしろかった。正統派のプラットフォームアクション。ウサギ?みたいな獣人をあやつって、いろんな動物の精霊の力を借りてつきすすむ。
Skul: the hero slayer
未クリア。これもおもしろい。ローグライトアクション。勇者たちによって魔王をはじめとした魔王城の住民たちが囚われてしまったので、唯一難を逃れた最弱のスケルトンがたちあがる物語。
頭をすげかえることでさまざまなスキルを使えるようになる。ややむずめの印象。
qomp
ちょっとおもしろい。家庭用ビデオゲームの始祖、PONGの世界から逃げ出したボールが主人公のアクションパズル。基本的にできる動作は「跳ね返る」ことだけで、これが意外に奥深い。ビジュアルや音楽面でもがんばっているけれど、パズルアクションとしてはややバリエーションに欠けるか。
Cucchi
微妙におもしろい。イタリアの大御所アーティスト、Enzo Cucchi*4の公式イメージ・アルバム的ゲーム。クッキの名作絵画にイマジネーションを得て造られた世界を探索して「眼」を集めていく。油断してると頭のでかいゴッホとか出てくるぞ。
1f y0u’re a gh0st ca11 me here!
微妙におもしろい。幽霊からかかってくる大量の電話を同時に受けて正しい部署へつないでいく聖徳太子的電話交換手アクション。
アクション部分もだが、世界観がやや独特でありつつも、意外に飲み込みやすくてキャラにも愛嬌がある。いかにも個人制作のアクの強さと愛され感が同居したゲームですね。
今のところボリューム的にも短くて電話交換アクションも忙しいだけで単調、といった印象だけれど、今後のアップデートでどんどん追加&強化されていく予定らしい。
Twelve Minutes
ループアドベンチャー。この手のものとしては初期配置からさほど動かないミニマルな作りが特徴。あと声優が豪華すぎ(デイジー・リドリー、ジェームズ・マカヴォイ、ウィレム・デフォー)。
ヒッチコックやキューブリックを意識しているそうで、まあたしかにそういう雰囲気といえなくもない*5のですが、おもしろいかっていわれると微妙なところがある。
A YEAR OF SPRINGS
日本在住の外国人(おそらく英語圏)が作った、日本を舞台にしてトランスジェンダーのリアルを描くアドベンチャー。サンリオっぽいかわいらしいイラストが特徴。現状ではめずらしい題材なので、プレイして損はないかも。
ちなみに海外(WIRED)のレビューでは「あなたはこのゲームをやって『やっぱり日本って価値観が遅れてて野蛮よね〜』とおもうかもしれないが、我々欧米人もそんな変わんないぞ!」と力説しているのですが、裏を返せば欧米では日本は「そういう眼」で視られているということなんですな〜となります。
ちなみに天皇に毒づくシーンがある貴重なゲーム。
日本語はあまりこなれていませんが、最新作では結構自然になっていて、作者の語学力の向上がうかがえます。
Cookie Clicker
クッキークリッカーなんて昔のゲームじゃないかって? ハハハ、あなた、おもしろいこといいますね。ここ、steam じゃあ、クッキークリッカーはれっきとして新作ですよ。さ、いっしょに焼こうか。掘ろうか。召喚しようか。
Road 96
独裁国家から脱出を目指すADV。Life is strange 2 といい、フランス人はなんでこういうゲーム作りたがるんだろうね。人との出会いが楽しく、それなり以上におもしろくはあるのだけれど、訳が一部プレイに支障をきたすレベルでダメ。
ZookeeperWorld(iOS)
Zookeeperです。
HoloVista(iOS)
写真撮影ゲーム。撮影対象が VaporWave……なかんじなのがおもしろい。
まだ判断できない
Chichory: A colorful Tale
初めて二時間程度。昨年のインディー界ではトップクラスの評価を受けたアートアドベンチャー。いきなり鬱になって部屋に引きこもったウサギ(主人公の師匠)が出てきて、そのうつ描写のガチさにビビる。
クリアの優先順位は高いけど、春くらいに日本語版が出ると聞いて少し迷っています。
Toodee and Topdee
チャプター3までクリアした。2Dプラットフォーマ―パズルの世界と、倉庫番パズルの世界を交互に切り替えてクリアしていくパズルアクションゲーム。いかにもゲームジャムでの企画から生まれた作品って感じ。今のところはスイスイ進めて愉しいけれど、これから難易度があがっていくんだろうか。
FILMECHANISM
ワールド4か5までいってるはず。ステージの任意の状態を写真に取って保存することで、後で一回だけその状態に戻ることができるリコイル型パズルアクション。グラフィックやゲームデザインの丁寧さは ElecHead とに通じるものがある。一ステージごとが短くて、サクサク進む。でも、なんというのかな、こういうパズルゲームはたるくてあんまりやる気にならないんです。
Let’s Build a zoo
遺伝子操作や違法建築や違法研究などで悪の動物園を目指す(善の動物園にもなれる)動物園経営シム。この手のゲームとしてはかなり難易度が低い印象。
DEAD ESTATE
MONOLITH とかみたいなひと部屋が狭い系のダンジョンで GUNGEON やる感じのゲーム。おもしろそう〜って買ってやってからあ、苦手だった、こういうの、と気づくのを繰り返している。
ちなみに「圧倒的好評」の理由の大部分はキャラのセクシーさが占めてるっぽい。
GenesisNoir
宇宙創生ジャズノワールハードボイルドパズルアドベンチャー。二時間くらいのところ。やりたいことはわかるんだけど、このレベルになってくるとゲームでやる意味ある……? と今のところはなっている。クリアすると評価変わるかも。
パラダイスキラー
だ〜か〜ら〜〜〜〜〜〜〜、3DFPSはゲロゲロに酔うから長く遊べないんだってば!!! これはとりわけ酔う。アートワークはめちゃくちゃすてき。
FANTASIAN(iOS)
今、坂口ゲーをやる体力がない。
EVERHOOD
途中で致命的なバグにハマって数時間分のセーブデータがトんだのにキレてしばらく放り出してましたが、やっぱりやりなさおないといけないタイトルですよね。
ナビつき! つくってわかる はじめてゲームプログラミング
つくれないのでわからなかった。
旧作(十分に遊んでおもしろかったやつだけ)
House
今年一番の掘り出し物。ループホラーアドベンチャー。呪われた家に住む少女を操って家族を悲劇から救う。家族それぞれの行動パターンは時刻によってちゃんと規定されていて、リアルタイムで特定の場所で特定の行動を取るようになっている。それをうまく管理して悲劇を避けましょう。限られた時間リソースで最大効率の行動を選ばないといけないので、妹を救おうとしたら母親が死ぬ、母親を救おうとしたら妹が死ぬ……といったジレンマが生じるのが悩ましい。
グラフィックもボリュームもミニマムですが、その分、シャープな完成度を誇っています。
ちなみにネコは殺さないほうがいいです。
3rd Eye
東方興味ない人なのですが、これはよかった。ビザールでキュートなキャラクターデザインと、エドワード・ゴーリーや『アダムスファミリー』に影響を受けたシナリオが魅力的。
I hate this game
全百面からなるアクション。クリア条件は画面左端に位置しているキャラを右端のドアのとこまでもっていくというシンプルなもの。しかし、これがまあ、メタネタの連続で、あの手この手でプレイヤーに謎をけしかけてくる。
Spec Ops: the line
だんだん助けてくれ、という鬱々たる気分にさせられていくTPSシューター。ロード画面のTIPSに「すべてはおまえのせいだ」と責められる経験は唯一無二。
Lonely: Mountains: Downhill
高難度ロードバイク山下りゲーム。わたしは自転車が嫌いなので、自転車乗りがひたすらミンチにされていく光景を眺めていると自然と笑顔になります。
a new life
二人の女性の出会いと別れを描く短編ADV。ちょっとしたメタ要素もあるよ。作者は前作 missed message. の劇中で『魔法少女まどかマギカ』の画像を引用していて*6、おそらく本作のメタ要素はモロにまどマギの影響を受けている。
the messenger
前半のある場所で詰まってしまって放置していたのを久しぶりにやり直したらあっさりクリアできました。
『忍者龍剣伝』というレトロ激むずゲーにインスパイアされた忍者アクションゲーム(何系のアクションゲームかを明かすとネタバレになる)ですが、難易度はそこまで高くありません。
ゲーム中盤で、文字通り世界が一変するあるしかけが施されているのがポイント。それと随所にほどこされたたちの悪いオタクノリジョークも笑わせてくれます。純粋にアクションとしても歯ごたえがあって楽しいです。発売年にクリアできてたら年度ベスト10に入れてたと思います。
クロノ・トリガー
去年はじめてプレイしました。時代相応だなと感じつつも、やはりオールタイム・ベストでありつづけるだけのパワーがあった。
これをやっていたおかげで今年の RTA in Japan 2021 Winter のトップバッターを十全に味わえたのは僥倖でした。
Milky Way Prince: The Vampire Star
『ウテナ』などに影響を受けた恋愛ビジュアルノベル。正統派な恋愛劇ではなく、トキシックな関係を描くという点で目新しい。
けどまあなんつーか、お題目ほどにはおもしろくなかったといいますか、訳もひどかったし……あれから改善されたんだろうか?
書いてから、あ、これあんま良くなかったじゃん、って気づきましたが、まあ書いちゃったもんはしょうがないのでそのままにしておきます。
Football Manager 2021*7
100時間くらいやってウォルブスの監督を無事クビになりました。
chronicon
Grim Dawn でハクスラの楽しさにめざめたのでほかにも手を出してみたんですね。とっつきやすいけど、GDほどではなかった。でもそれなりには楽しんだ。逆にSwitchで出たディアボロIIは数時間やって「あ、これ”””沼”””だ」と気づいたので意識的に遠ざけました。人生は有限なので。
VRChat
この楽しさはやはりゲームなんだとおもう。
割と王道なやつを中心に紹介されていますね。
こっちは「えっ? こんなのも!?」というのが多い。多様です。