はじめに
他人がなんか楽しくワイワイしながら盛り上がってるさまを眺めるのはとてもくやしいものです。わたしだってワイワイしたい。
最近の twitterでのワイワイ案件としては「◯◯年代映画ベスト10」があります。年代ごとにベストな映画を10本挙げるとかいうやつです。それをここでやります。やりたくなるまでお気持ちの変遷については省きます。
ちなみに twitterでベストを挙げた方々はそろって「年代ごとに10本しか選べないのキツすぎだろ」とおっしゃってます。私のほうはといえば、今まで観た映画の半数弱? くらい*1が2010年代の作品で、裏を返せばそれ以前の映画はあんまり齧っていません。人間には「知らない分野のことほど気軽に大きなことをいいやすい」という性分があります、よって2010年代以前なら出来心で10本挙げやすい。雑誌なんかのベスト本に妙にラインナップが似通うのもそのせいです。こういうのは選者の人となりがわかる一本の筋の通ったものが読んでておもしろいんですが、まあ、マスに巻かれるのが私のパーソナリティです。
で、140文字制限のあるところだとタイトルを挙げるだけでギュウギュウになるのですが、せっかくそういう縛りのないブログでやるからには何故選んだかの理由を書きたい。付加価値によるプレミアム感というやつです。
とは言い条、私はだいたい観た映画の内容の99%を忘れる人なんで、細かくどのシーンのどれがよかった、というよりは「ふわっと」とか「ぐんにょり」とかいったオノマトペが頻出することとなるでしょう。そこらへん、ご寛恕いただけると幸いです。
以下、年代ごとの10選です。選ぶにあたって独自に「アニメは別枠で各年代ごとに一本選ぶ(ただしストップモーションアニメは一般枠)」、「ドキュメンタリーは含めない」といったルールがもうけられています。どういった深遠な理由に基づいてそういうルールが課されるのか、といったご質問については残念ながらお答えできません。わたしにもはっきりとわからないからです。
では、はじめましょう。おおむね番号順が好きな順です。カッコ内は監督の名前。
1930-40年代
1.『桃色の店(街角)』(エルンスト・ルビッチ)
2.『ニノチカ』(エルンスト・ルビッチ)
3.『マルタの鷹』(ハワード・ホークス)
4.『祇園の姉妹』(溝口健二)
5.『市民ケーン』(オーソン・ウェルズ)
6.『駅馬車』(ジョン・フォード)
7.『大人の見る繪本 生れてはみたけれど』(小津安二郎)
8.『極楽特急』(エルンスト・ルビッチ)
9.『レベッカ』(アルフレッド・ヒッチコック)
10.『狐物語』(ラディスラフ・スタレヴィッチ)
A. 『バンビ』(デイヴィッド・ハンド)
たぶん、通して観た長編映画で一番古い作品はルビッチの『山猫ルシカ』(1920年)で、そこから30年間くらいの映画はあんまり観ていません。要するにサイレント時代の作品をほとんど観てないわけで、そういう教養を持ってないのはどうかな、とも思うのですが人は教養のために映画を観ているのではないのでしょうがなくない?
この年代の映画は事故的に出会うといったことがあんまりなくて、しぜん、気に入った監督の作品を掘る過程で摂取していくわけで、そうなるとやはり名前が偏る。つまりはルビッチ、ルビッチ、ルビッチ。
でもルビッチはどの年代に生まれたとしても最低三作品は入れてたと思う。
なんなら『生きるべきか死ぬべきか』や『生活の設計』なんかもぶっこんでよかった。ルビッチは神です。ワイルダーも小津もそう言っている。
個人的にはルビッチのいわゆるスクリューボールコメディのテンポと所作が非常に大好きで、『生活の設計』の出会いのシーンや『桃色の店』の郵便局のシーン、なんでみんなああいうのやんないんだろうとも思う。まあやれないからなんですが。ウェス・アンダーソンは『グランド・ブダペスト・ホテル』で頑張っていた。
『市民ケーン』だいぶ昔に観ましたね。わりによく覚えています。ときどき『市民ケーン』て今観てもいうほどおもろいか? みたいなご意見を目にしますが、十二分におもろいでしょう。キチガイがアメリカン・ドリームを実現するためにがんばってやがては幻滅ないし破滅する話は普遍的に面白いです。フィッツジェラルドの時代からずっとそうです。だから私たちは今でも『ウルフ・オブ・ウォールストリート』や『ナイトクローラー』といったキチガイ成り上がり映画を見に行く。ジョーダン・ベルフォートもナイトクローラーさんも幻滅はしないところが21世紀ですが。
アニメ枠は『バンビ』。
常々言ってることですが、『バンビ』を観たこともない人はもちろん、小さい頃に『バンビ』を観てなんとなく忘れかけてる人もぜひもういちど『バンビ』を観直すべきです。ビビるから。
アニメーションのうごきがとにかくものすごい。「ぬめぬめ動く」という形容はこれのために用意されたといっても過言ではなく、のみならず動物の毛皮がふんわり膨れ上がるところとか……とにかく官能的、そうエロいんです。この動作のエロさは今現在ディズニーを含めたどこのアニメスタジオも達成できていない。ロストテクノロジーです。オーバーテクノロジーです。アトランティスです。『アトランティス 失われた帝国』じゃなくて。この快楽はたぶん言葉では伝えきれないと思います。
1950年代
1.『幕末太陽傳』(川島雄三)
2.『サンセット大通り』(ビリー・ワイルダー)
3.『恐怖の報酬』(アンリ=ジョルジュ・クルーゾー)
4.『イヴの総て』(ジョセフ・L・マンキーウィッツ)
5.『七人の侍』(黒澤明)
6.『ぼくの伯父さん』(ジャック・タチ)
7.『近松物語』(溝口健二)
8.『大人は判ってくれない』(フランソワ・トリュフォー)
9.『現金に体を張れ』(スタンリー・キューブリック)
10.『大いなる西部』(ウィリアム・ワイラー)
A.『眠れる森の美女』(クライド・ジェロニミ *総監督)
当然のごとくあんまり観ていない。現代っ子なもので。わたしが子どものころはみんな映画なんか観ずにエロゲをやっていました。
『幕末太陽傳』はこの世でいちばんおもしろい時代劇だと思います。ちゃんばらとかはないんですけど、短いエピソードを細かくテンポよく刻んでいって、最後にフッと哀しいけどどこか爽快な後味を残してくれる。聞けば、元は落語の寄せ集めだそうですが、これと同じ手法で何かまた映画作ろうとしても、そうそう上手くいかないんじゃないかな。川島雄三の演出とフランキー堺の佇まいがとにかくキレまくってる。
『イヴの総て』と『サンセット大通り』はキチガイがどんな手段を使ってでも成り上がるアメリカン・ドリーム破滅物語のビフォアとアフターって感じで、私の中では二本でワンセットですね。
『恐怖の報酬』はいつ爆発するかもわからない爆薬を輸送する男たちの話ですが、とにかく観客へのストレスのかけかたが尋常じゃない。ほとんどイジメに近いですよ、これは。しかも、オチな。オチが……。
時代のわりには全体的に雰囲気やライティングの暗い映画が多いですけれど、『大いなる西部』はカラッと晴れやかな画面で、ガンマンたちは最後は素手で殴り合う古典芸能ってかんじで、同時代の西部劇では好きな方。
アニメ枠は実質ディズニーからどれを選ぶかの問題。50年代のディズニーではどの作品にもあまりパッションをおぼえないんですが、スタイリッシュさが光る『眠れる森の美女』でここはひとつ。
1960年代
1.『ワイルドバンチ』(サム・ペキンパー)
2.『反撥』(ロマン・ポランスキー)
3.『アパートの鍵貸します』(ビリー・ワイルダー)
4.『切腹』(小林正樹)
5.『殺しの烙印』(鈴木清順)
6.『プレイ・タイム』*2(ジャック・タチ)
7.『日本のいちばん長い日』(岡本喜八)
8.『ミトン』(ロマン・カチャーノフ)
9.『裸のキッス』(サミュエル・フラー)
10.『地下鉄のザジ』(ルイ・マル)
A.『101匹わんちゃん』(ウォルフガング・ライザーマン)
フランス映画ばかりですね。それとアメリカン・ニューシネマ。時代に流されやすい人だよ。ほんとうは『気狂いピエロ』も下三つと甲乙つけがたいかんじだったのですが……短編(ストップモーション)の「ミトン」と入れ替えても……いや、でも「ミトン」はほんとほんとほんとにヤバいので。短編アニメでマジ感動したのはこれと最近の「ひな鳥の冒険」(アラン・バリラロ)くらいでしょうか。いやストップモーション短編ならもっとあるな。
『プレイ・タイム』と『日本のいちばん長い日』は一見題材からジャンルまで正反対の映画に見えますが、過剰なまでの段取りへの意識という点で非常に似ているとおもいます。ジャック・タチは段取り魔ですね。犬を(たぶん)演技させずに完璧に段取らせることのできた史上唯一の監督だとおもいます(『ぼくの伯父さん』のオープニングのこと)。この段取り力をデイミアン・チャゼル先生も見習ってほしい。
演出ではタチですが、脚本のソリッドさならやっぱり僕らのビリー・ワイルダー。『アパートの鍵貸します』は元祖反復伏線芸映画と申しますか、特にコンパクトミラーの使い方が神がかっています。
ポランスキーはこの頃が一番好きかなあ。『袋小路』とかもいいですよね。『反撥』はナーブスリラーなのに、なんの脈絡もなく路上ジャズ・バンドを出現させて主人公につきまとわせたりする茶目っ気が好きです。オープニングが目ン玉のドアップだと名作の法則を確立した一作。
『101匹わんちゃん』、俗に犬を映画に一匹出すごとに自乗して傑作になっていく、といいますが*3、その伝でいくと仮に5つ星だとして5の101乗の星が輝く大名作ということになります*4。ライザーマン時代のディズニーはタッチがすばらしいですよね。今観てもモダンでフレッシュ。『バンビ』の官能とはまた別の快楽がある。
1970年代
1.『ナッシュヴィル』(ロバート・アルトマン)
2.『ジャッカルの日』(フレッド・ジンネマン)
3.『ロング・グッドバイ』(ロバート・アルトマン)
4.『仁義なき戦い』シリーズ(深作欣二)
5.『スティング』(ジョージ・ロイ・ヒル)
6.『エル・トポ』(アレハンドロ・ホドロフスキー)
7.『地獄の逃避行』(テレンス・マリック)
8.『チャイナ・タウン』(ロマン・ポランスキー)
9.『サスペリア』(ダリオ・アルジェント)
10.『デュエリスト』(リドリー・スコット)
A.『フリッツ・ザ・キャット』(ラルフ・バクシ)
他の年代は割と序列がはっきりしてますけれど、70年代はあんまりそういうのがないというか、上にも下にも飛び抜けたものがありません。
でもやっぱり『ナッシュヴィル』は特別かな。群像ドラマとしては後の『ショートカッツ』とか、弟子のポール・トーマス・アンダーソンの初期作のほうが洗練されてますけれど、『ナッシュヴィル』はラストがね、ラストがほんとうにいいんですよ。もともとダメだったものたちが本当に完膚なきまでになにもかもダメになってしまったけれど、みんなそれに目を反らして生きていくんだな、という諦念と前向きさとの間にあるような不思議なかんじは唯一無二。それに歌がいい。総体的にも歌がいい。
それにしても孤独な男がひとりでトボトボ歩いている映画が多いですね。二人でなんとかやっている作品は『地獄の逃避行』くらいでしょうか。しかも、あんまりみんな胸を張っているイメージではない。『ロング・グッドバイ』のエリオット・グールド、『チャイナタウン』のジャック・ニコルソン、『デュエリスト』のハーヴェイ・カイテル……みんなくだびれていてさびしげです。ベトナム戦争を経て、アメリカの男たちはみんな疲れてしまったでしょうね。そんな中で南米から飄々とやってきたホドロフスキーがジョン・レノンを筆頭としたアメリカ人たちに熱狂的に迎えられたのも、ある種の逃避だったのか。
『サスペリア』は『2』にするかどうかでかなり迷ったんですよ。どちらもベクトルの違うおもしろさで、そもそもシリーズですらありませんが。
『スティング』いいですよね。なんかどこかでシネフィルだか秘宝読者だかにコケにされてましたが、なぜあの手の方々(主語)は『ニュー・シネマ・パラダイス』だとか『レオン』だとか『ライフ・イズ・ビューティフル』を貶すんでしょうか。どれも良い映画じゃないですか。
1980年代
1.『ロジャー・ラビット』(ロバート・ゼメキス)
2.『アリス』(ヤン・シュヴァンクマイエル)
3.『笛吹き男』(イジー・バルタ)
4.『アナザー・カントリー』(マレク・カニエフスカ)
5.『フルメタル・ジャケット』(スタンリー・キューブリック)
6.『狂い咲きサンダーロード』(石井聰互)
7.『ホワイト・ドッグ』(サミュエル・フラー)
8.『食人族』(ルッジェロ・デオダート)
9.『終電車』(フランソワ・トリュフォー)
10.『動くな、死ね、甦れ!』(ヴィターリー・カネフスキー)
A『となりのトトロ』
屈指の激戦区。実質アニメ作品が三本くらい入ってるようにも見えますが、気にせんといてください。『ロジャー・ラビット』は半分は実写だし、『笛吹き男』には実写のネズミが、『アリス』の主人公は実際の女の子だからセーフというルールです。
『ロジャー・ラビット』はおそらく映画史に残る傑作というわけではないでしょうし、ライブアクションと2Dアニメの融合という意味では『メリー・ポピンズ』はもちろん下手すればジョー・ダンテの『ルーニー・テューンズ/バック・イン・アクション』にすら勝ってるかどうか怪しいんですが、まあアニメキャラがわちゃわちゃ出てきてアホくさくてとにかく楽しいんです。楽しいって大事ですよ。エンタメですからね。
楽しいという基準で行けば『笛吹き男』なんか最高に楽しくない映画の一つでしょう。「ハーメルンの笛吹き男」を題材にしてストップモーションアニメでまあとにかく暗いのなんの。画面が暗いし話もドス暗い。人間は絶望するしかないんだなって思う。ソ連とかチェコとかの旧共産圏のアニメってマーケティング的にはかわいさで売ってるくせに、なんか暗澹たる雰囲気のもの多いですよね。でもベクトルがプラスにしろマイナスにしろ、圧倒的な迫力で押し切られたら降伏するしかありません。
『アリス』、『フルメタル・ジャケット』、『アナザー・カントリー』、どれもカット単位のエロティックさがヤバいです。それぞれ質的に異なる手触りですが、物語だとかテーマだとかそういうものとは別のところで永遠に観続けられるアレがある。
『ホワイト・ドッグ』は犬映画を語る上では欠かせない一本です。別にここでは語りませんが。『食人族』とセットで観ると明日から「人間は野蛮なのだ……
わるい文明なんだ……」というアルテラさん気分で生きていけます。滅ぼしましょう。
『終電車』、作品要素的にも螺旋階段だとか電話だとかトリュフォー映画の集大成みたいなものです。トリュフォーのなかでは一番好きかもしれない。そういえば『動くな、死ね、甦れ!』の感触は『大人は判ってくれない』に似てる気がします。
ヘルツォークの『フィッツカラルド』が最後まで粘っていたんですが、内容あんま覚えてないし、『食人族』に負けました。メッセージはナレーションで入るくらいわかりやすいほうがいいですね。そのおかげで作ってるほうも絶対こんなおためごかし信じてるわけないと知れますから。
『狂い咲きサンダーロード』は元祖ウテナ。人間がバイクになります。
アニメ枠はいよいよ選ぶのが難しくなってきましたね。ディズニーは斜陽期ですが日本勢が元気で、『ビューティフル・ドリーマー』、『AKIRA』、『ニムの秘密』、『ドラえもん のび太の大魔境』、宮﨑駿、どれもいいような気もするし、どれでもいいような気もする。でもコンサバなので、『トトロ』で。
1990年代
1.『エド・ウッド』(ティム・バートン)
2.『約束 ラ・プロミッセ』(ドニ・バルディオ)
3.『ナイトメア・ビフォア・クリスマス』(ヘンリー・セリック)
4.『コルチャック先生』(アンジェイ・ワイダ)
5.『許されざる者』(クリント・イーストウッド)
6.『フルスタリョフ、車を!』(アレクセイ・ゲルマン)
7.『ブギーナイツ』(ポール・トーマス・アンダーソン)
8.『ファーゴ』(コーエン兄弟)
9.『ファイト・クラブ』(デヴィッド・フィンチャー)
10.『フロム・ダスク・ティル・ドーン』(ロバート・ロドリゲス)
日本映画が入ってませんが、単に絶望的なまでに観てないだけです。
1~4までは他の年代だったらどれもトップに置いたでしょうね。『ラ・プロミッセ』はかなり昔に一回観たっきりなので思い出補正入ってるとおもうんですが、それでもやはりラストシーンのエモさは屈指だと思います。エモいラストシーンといえば『コルチャック先生』も。なんか最後でエモくなればオッケーになる病気だな、というのはうすうす自覚しているところでもあります。
っていうかまあリストの上半分はエモい作品ばかりです。下半分はなんというか……人が死んでますね。いや、『ファイト・クラブ』は死んでないけど、精神的にさ。
『ファイト・クラブ』はとても哀しいお話です。それはそれとしてブラピやジャレッド・レトと殴り合うエドワード・ノートンはいいものです。
『フロム・ダスク・ティル・ドーン』は何が良かったのか今となってはまったく思い出せないんですけど、鑑賞当時の自分のメモを観てみると「100点!」とあるので100点だったんだと思います。過去の私に免じてエモと人死にが高度に結びついた傑作であるところの『プライベート・ライアン』を押しのけて10枠に滑り込みました。イイ話だな。
『エド・ウッド』もね、ほんとにイイ話なんですよ。要約すると「どんなに下手の横好きであろうと、自分の好きを貫くことが尊いんだ(報われないけどね)」というお話で、要するに『ユリ熊嵐』ですね。そうか? キチガイにやさしい数少ないアメリカ映画。父親と若いして以降のティム・バートン映画はどれも(『ビッグフィッシュ』とかね)好きです。
アニメは『もののけ姫』か『ウテナ』か『ライオンキング』か。90年代はいつのまにか「エモさ」がテーマになっているようなので、エモ成分の一番強い『ウテナ』でいきましょう。
2000年代
1.『ファンタスティック Mr.FOX』(ウェス・アンダーソン)
2.『コラテラル』(マイケル・マン)
3.『イングロリアス・バスターズ』(クエンティン・タランティーノ)
4.『ゼア・ウィル・ビー・ブラッド』(ポール・トーマス・アンダーソン)
5.『その土曜日、7時58分』(シドニー・ルメット)
6.『カンフーハッスル』(チャウ・シンチー)
7.『ノー・カントリー』(コーエン兄弟)
8.『エレクション』二部作(ジョニー・トー)
9.『ミュンヘン』(スティーブン・スピルバーグ)
10.『かいじゅうたちのいるところ』(スパイク・ジョーンズ)
まあ迷いますよね。2000年以降はね。現代っ子ですからね。
オールタイムベストの『ファンタスティックMr.FOX』は揺るがないとして、あとはどう選んだものか。コーエン兄弟とかPTAとか他で入れたんだからエドガー・ライトとかサム・メンデスとかハネケとかに目を向けるべきではないのか。
それでも欲望のおもむくままに選ぶとこういう感じになってしまう。業ですな。
なんか色んな意味で説教映画が多い気がします。みんな説教してもらいたいんでしょう。ある日あなたの前に殺し屋のトム・クルーズや殺し屋のハビエル・バルデムやナチぶっ殺し隊のブラッド・ピットが現れてあなたに説教をし、そして殺す。ブラピは特に説教せずに殺してるだけだったな。あとダニエル・デイ=ルイスがおまえのミルクセーキを吸いに来る。
『Mr.Fox』、『コラテラル』、『その土曜日』あたりは「なんとなくそれなりに生きてるけど、おれの本当にやりたかったことなんなのかなあ……」映画でもあります。どれも大惨事になりますが。『その土曜日』のフィリップ・シーモア・ホフマンもフィリップ・シーモア・ホフマン然とした情けなさでいい感じですが、2000年代のフィリップ・シーモア・ホフマンなら『カポーティ』も良い。ハマりすぎて逆にフィリップ・シーモア・ホフマン感ないですが。
『カンフー・ハッスル』は生まれて初めて映画館で二度観た思い出の作品です。イイ話枠。
ジョニー・トーはマジ迷いますよね。『エグザイル』、『ブレイキング・ニュース』、『柔道龍虎房』……別に1から10まで全部ジョニー・トーで埋めてもよかったんですが、コンサバなのでそういう冒険はできないタチのです。しょうがないので人が一番死ぬ作品を選びました。
(追記:『フィクサー』を『ミュンヘン』と入れ替えました。)
2010年代
あと二年半くらいあるけど、すでになんか各年代の三倍くらいパンパンで選べなくなってる……。