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2016年四月期、注目の新刊25冊

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2016年4月の新刊チェックリスト - フィララバキシア
*4月9日時点。発売は予告なく延期されるおそれがあります。

『追悼文大全』三省堂

追悼文大全

追悼文大全

共同通信が全国の新聞社に配信した27年間(1989年から2015年まで)の膨大な追悼文を1冊に凝縮。掲載追悼文約770編、筆者約460名。物故者索引、筆者索引、そして故人を知るキーワード索引付き。心に響く1編と出合える、空前の人生の風紋を記録する大事典。

 追悼文文学のマスターピースになるか。
 共同通信の追悼文というのは故人に親しい人間依頼して書いてもらう形式が多いようで、三省堂はこの本のために見た感じいちいち460人の許可をとってあるいてたらしい。
 もって瞑すべし。

デニス・ルヘイン『過ぎ去りし世界』ハヤカワ・ポケット・ミステリ

『運命の日』、『夜に生きる』につづくジョー・コグリン・サーガ三部作の完結編。

エナ・フランシス・サンダース『翻訳できない世界のことば』創元社

翻訳できない世界のことば

翻訳できない世界のことば

外国語のなかには、他の言語に訳すときに一言では言い表せないような各国固有の言葉が存在する。本書は、この「翻訳できない言葉」を世界中から集め、著者の感性豊かな解説と瀟洒なイラストを添えた世界一ユニークな単語集。言葉の背景にある文化や歴史、そしてコミュニケーションの機微を楽しみながら探究できる。小さなブログ記事が一夜にして世界中へ広まった話題の書。ニューヨークタイムズ・ベストセラー。世界6カ国で刊行予定。

 原題はもちろん『Lost in Translation』。

ジーナ・ショウォルター『死霊の国のアリス』ハーパーコリンズ

死霊の国のアリス (ハーパーBOOKS)

死霊の国のアリス (ハーパーBOOKS)

少女の泣き声は誰にも聞こえない。その日、わたしの家族は皆殺しにされた。なぜわたしだけ生き残ったの…。わたしの中の声なき声があなたを殺せと囁く。竹中美麗挿絵付血塗られた学園黙示録…。

「怪物が襲ってくる」という妄想に取り憑かれた父親のもとで育てられたアリスは、16歳の誕生日、本物の“怪物”に襲われて家族を皆殺しにされてしまう。ひとり生き残り、罪悪感に苛まれるアリスは、転校先で学園を支配する美貌の不良少年コールに出会う。全身傷だらけのコールは、まるですべてを見透かすように――アリスに怪物(ゾンビ)が見えることを知っているかのように――見つめた。

原作の『Alice in Zombieland』は数年前に出版されたときにそのタイトルのインパクトからちょっとだけ話題になった気がするんだけれど、こんなティーン小説然とした筋だったとは。

深谷裕『加害者家族のライフストーリー 日常性の喪失と再構築』法律文化社

加害者家族の経験を、二項対立的な「善対悪」から「日常性の崩壊と再構築のプロセス」という枠組みにとらえ直す。

 フィクションではよく見るけど報道ではなかなか扱われない加害者家族のリアル。
 アカデミック系っぽいのでライトに読みたいなら数年前に幻冬舎新書から出た『加害者家族』(鈴木伸元)が適当か。

萩尾望都萩尾望都 SFアートワークス』河出書房新社

 萩尾望都です。(萩尾望都です。)

ジョー・マーチャント『「病は気から」を科学する』講談社

「病は気から」を科学する

「病は気から」を科学する

科学も心も「万能」ではない。現代医学に疑いを持つ人も、スピリチュアルが怪しいと思う人も必読のノンフィクション!ホメオパシーには科学的根拠は一切なく、「おしゃれなボトルに入った水や砂糖」だ。だが、最先端科学の現場では「信じる心」を、医療に取り入れる研究が進んでいる。過敏性大腸症候群、がん、自己免疫疾患、分娩まで、臨床現場における「心の役割」を、科学ジャーナリストが緻密な取材をもとに検証。

 いちおうフラットな立場から民間療法や疑似医学を考察するポピュラー・サイエンス本。
 こういうギリギリなところを攻めてくるノンフィクションが好きです。

宮島咲『ダムカード大全集 Ver.2.0』スモール出版

ダムカード大全集 Ver.2.0

ダムカード大全集 Ver.2.0

■「ダムカード」とは?
国土交通省独立行政法人水資源機構などが「ダムのことをもっと知ってもらおう」という目的で作成した、カード型のミニパンフレット。ダムやその周辺施設にて無料で配布されており、ダムを訪れた人が1人1枚だけ入手することができる。表面にはダムの写真と型式や目的、裏面にはスペックなどの基本情報から、ちょっとマニアックな技術情報までが記載されている。現在では、一部の都道府県や発電事業者の管理するダムも加わり、さらなる広がりを見せている。

 ワールドはワイドだわ……。

ニック・デイヴィス『カッコウの托卵 進化論的だましのテクニック』地人書館

カッコウの托卵: 進化論的だましのテクニック

カッコウの托卵: 進化論的だましのテクニック

カッコウは昔から托卵をする鳥として知られていますが、その詳細については写真やハイテク機器を用いて個体の同定や追跡、巣内の観察が行われる最近まで不明でした。観察方法の進歩につれ、どのように托卵し、それに対し宿主がどのように托卵を回避するか、共進化の様相が明らかになってきました。カッコウの托卵行動と子育ての放棄・押しつけは、果たして“進化"で説明できるのでしょうか。

 カッコウの托卵技術の進化「だけ」にスポットライトを当てた一冊。一般人にもわかりやすい叙述がされていると謳ってあるけれど、どんな一般人が買うんだろうか。

ブッツァーティ絵物語』東宣出版

絵物語

絵物語

現代イタリア文学の鬼才ブッツァーティがペンと絵筆で紡ぎ出す奇妙で妖しい物語世界

 『神を見た犬』や『タタール人の砂漠』で有名なブッツァーティ絵物語
 どんな内容かまではよくわからないものの、いつもの幻想譚なんだろう。

今野真二『リメイクの日本文学史平凡社新書

もと歌の書き換え、自作に手を入れ続ける作家たち……「推敲」から「翻案」まで、「書き換え」の諸相に目を凝らし、文学の力を探る。

 一口にリライトというけれど、和歌や古典の本歌取り、明治初期の海外作品の「輸入」、自作品の改稿、大人向けだった作品のジュブナイル化と扱う範囲は広い。

金井美恵子『新・目白雑録』平凡社

新・目白雑録

新・目白雑録

DJポリス、「佐村河内」の発注、裸の王様、反アマゾン法、戦争画東京オリンピック……。
現代日本文学の最高峰にして、当代一のことばの使い手・金井美恵子
世間にあふれる奇妙な言説への、目の覚めるような優雅な批評の技が炸裂する。
2013年~2015年の「一冊の本」で話題の人気連載の書籍化。
また、国立競技場「エンブレム」から聖火台問題までを取り上げた、
最新書き下ろし「まだ、とても書き足りない」収録。

 金井美恵子のエッセイ集。頭が良くて口の悪い人に時評を書かせると何かと面白く、金井美恵子もその一人。

日本蜃気楼協議会『蜃気楼のすべて!』草思社

蜃気楼のすべて!

蜃気楼のすべて!

ここ数年で蜃気楼の研究は大幅に進み、日本各地で新たな蜃気楼が次々発見されている。「蜃気楼とは何か」という素朴な疑問から、どうして見えるか、日本のどこでいつ見られるか、さらには蜃気楼の歴史や、美術・骨董における蜃気楼まで、まさに蜃気楼のすべてを美しい写真とともに一冊で網羅!

 蜃気楼に対してここまで命と情熱をかける人々がいるのだと思うとなんだか地球も捨てたもんじゃありませんね。

イアン・ゲートリー『通勤の社会史』太田出版

通勤の社会史: 毎日5億人が通勤する理由 (ヒストリカル・スタディーズ)

通勤の社会史: 毎日5億人が通勤する理由 (ヒストリカル・スタディーズ)

通勤こそ近代社会を発展させた原動力。19世紀に生まれ、移動・職業選択の自由をもたらし、都市と生活を激変させた通勤の歴史、現状、未来を考察。「通勤大国」日本をはじめ、世界の通勤事情も網羅。

 ヒト・モノ・カネの輸送は文明論の基礎であり我々も当然世界の通勤事情や通勤の未来について思いを馳せる義務があるのである。

ロブ・ダン『心臓の科学史 古代の「発見」から現代の最新医療まで』青土社

心臓の科学史: 古代の「発見」から現代の最新医療まで

心臓の科学史: 古代の「発見」から現代の最新医療まで

 

吉田菊次郎『洋菓子百科事典』白水社

洋菓子百科事典

洋菓子百科事典

お菓子は他の食べ物と同様に多くが農産物加工品であり、それぞれの地の気候や風土に育まれ、習慣や文化とも深い関わりを持ちながら発展してきた。そのような視点から、配合や製法のみならず、お菓子にまつわる歴史やエピソード、社会現象など文化的背景も記述している。またお菓子そのものにとどまらず、原材料・器具・製菓用語・製菓人や料理人など、洋菓子を取り巻く多数の語彙を収録している。
見出し語には対応する原語表記や他の言語での呼称を併記した。写真も多数掲載。巻末には洋菓子の日本史と世界史の年表が付属。
洋菓子のプロやプロを目指す方はもちろん、お菓子作りを趣味とする方、製菓業界に関わるすべての方に。

 なんだかよくわからないが、とにかく気合が入った百科事典だということがうかがえる。

ジュリアン・ハイト『ヴィジュアル版 世界の巨樹・古木』原書房

ヴィジュアル版 世界の巨樹・古木: 歴史と伝説

ヴィジュアル版 世界の巨樹・古木: 歴史と伝説

原書房は毎月ニッチな事典を精力的に出版してくれる優良出版社です。

ローズマリ・エレン・グィリー『悪魔と悪魔学の事典』原書房

原書房は毎月ニッチな事典を精力的に出版してくれる優良出版社です。

本橋哲也『ディズニー・プリンセスのゆくえ 白雪姫からマレフィセントまで』ナカニシヤ出版

ディズニー・プリンセスのゆくえ: 白雪姫からマレフィセントまで

ディズニー・プリンセスのゆくえ: 白雪姫からマレフィセントまで

ディズニー映画の名作に登場するプリンセスたちはどのように変化してきたのか。その表象を読み解き、文化の力学をあぶりだす。

 『白雪姫』『シンデレラ』から『アナ雪』『マレフィセント』に至るまでをカルスタ学者が読み解く。本場のカルスタを学んだ還暦のおっさんの読解なんで、まあそういうことだろう。

ニコラス・ウェイド『人類のやっかいな遺産 遺伝子、人種、進化の歴史』晶文社

人類のやっかいな遺産──遺伝子、人種、進化の歴史

人類のやっかいな遺産──遺伝子、人種、進化の歴史

「世界には、経済発展した豊かな国もあれば、停滞して貧しい国もある。
これはだれの目にも明らかなことだ。でも、どうして発展したところは発展で
きたのか? (…)本書は、それに対して別の答えを出そうとする。
それは、そもそも人間の出来がちがうのではないか、という答えだ。
平たく言えば、資本主義の市場経済を発展させられない連中は、
そのための進化が足りないのでは、というのが本書の主張となる。
――訳者解説より

「資本主義の市場経済を発展させらない連中は、そのための進化が足りない」
 こういうギリギリなところを攻めてくるノンフィクション本が好きです。ちなみにこの「訳者」とはもちろん山形浩生先生のこと。
 いちおう『背教の科学者』とかで実績あるライターのニコラス・ウェイドなのだし、なんらかのエクスキューズは用意してくるんだと思うけれど、そのまま出したら優生学思想アゲインだよなあ。

『海外文学賞事典』日外アソシエーツ

海外文学賞事典

海外文学賞事典

日外アソシエーツは毎月ニッチな事典を精力的に出版してくれる優良出版社です。

『ネット炎上の研究』勁草書房

ネット炎上の研究

ネット炎上の研究

インターネットが普及すれば多くの人が自由な議論の輪に加わり討論の民主主義が社会のすそ野に広がっていくと期待された。しかし論調は暗転し、ネット上での意見交換に悲観的な意見が増えてくる。この論調の暗転の大きな原因になったのがいわゆる炎上問題である。本書はこの炎上について定量的な分析を行うとともに、本書なりにその原因と社会としての炎上対策を示す。

 実のところネット炎上にまつわる本というのはアカデミズム・一般向け両方でそんなに珍しいものでもないんだけれど、これは経済学者の共著ということで分析における視点がちょっと違うっぽい。

『日本「地方旗」図鑑 ふるさとの旗の記録』えにし書房

日本「地方旗」図鑑: ふるさとの旗の記録

日本「地方旗」図鑑: ふるさとの旗の記録

3000を超える都道府県、市町村の旗を掲載した比類なき図鑑。日本47の都道府県旗と1,741の市町村旗のすべてを正確な色・デザインで地図と共に掲載、解説を加える。さらに「平成の大合併」に伴い廃止された1,248の「廃止旗」も旧市町村名とともに掲載。忘れ去られ、消えゆく運命にある旗たちの記録は合併により失われたふるさとのよすがとしても貴重である。

 ただでさえ仕事でやれと言われたらテキトーにやってすませてしまいそうなところを統合廃止された市町村の旗まで網羅するという労作っぷり。こういうのを文化事業と呼ぶんですね。
 ちなみに去年は同じ著者、同じ出版社から『世界の「地方旗」』も出てます。

忠田友幸『下水道映画を探検する』星海社新書

下水道映画を探検する (星海社新書)

下水道映画を探検する (星海社新書)

時に怪物が潜み、時に逃亡者が駆ける映画の名脇役・下水道。映画の中の下水道を徹底解説する『月刊下水道』の人気連載、遂に書籍化!

『女囚さそり』とか『地下水道』とかやろうか。

フリーメイソンの歴史と思想』三和書籍

フリーメイソンの歴史と思想: 「陰謀論」批判の本格的研究

フリーメイソンの歴史と思想: 「陰謀論」批判の本格的研究

本書は、フリーメイソンの運動が始まったイギリスやフランスの歴史分析から出発しているが、その中心はドイツ語地域のフリーメイソンの分析に当てられている。その理由はフリーメイソン攻撃の陰謀論はとくにドイツにおいて展開していったという歴史があるためだ。本書では、自らフリーメイソンであったフリードリヒ2世(大王)から19世紀における陰謀論の成立についての分析、ナチ時代のフリーメイソンの弾圧にいたるまでが解説されている。

 みんな大好きフリーメイソンについての真面目な本。

注目の新訳復刊文庫落ち

大岡昇平『無罪』小学館文庫
レイ・ブラッドベリ『10月の旅人たち』ハヤカワ文庫SF
ロス・マクドナルド象牙色の嘲笑』ハヤカワミステリ文庫
ウラジミル・ソローキン『青い脂』河出文庫
R・A・ラファティ『地球礁』河出文庫
フィリップ・ボール『かたち』ハヤカワ文庫NF
月村了衛『コルトM1851残月』文春文庫
小川鼎三『鯨の話』文藝春秋
伊藤彰彦『映画の奈落 完結編 北陸代理戦争事件』講談社+α文庫
フィリップ・ロス『素晴らしいアメリカ野球』新潮文庫
トマス・ハーディ『呪われた腕 ハーディ傑作選』新潮文庫
伊藤彰彦『映画の奈落 完結編 北陸代理戦争事件』講談社+α文庫


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