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第三回文学フリマ出展告知とその詳細

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 あけましておめでとうございます。
 突然ですが、1月20日(日)に京都市のみやこメッセで行われます京都文学フリマに出展します。徒党を組んで。


bunfree.net

 配置はう-43。サークル名は「ストレンジ・フィクションズ」。

c.bunfree.net

 今回の特集内容は『異色作家短篇集リミックス』。
 昔、早川書房から出されていた『異色作家短篇集』という叢書の収録作・収録作家を下敷きに創作を書く、いわゆるトリビュート本ですね。
 最初は創作だけの薄い本になる予定でした。
 が、せっかくなので評論も入れようインタビューもやろう創作もリキ入っちゃった等で増しましが際限なく膨れあがり、最終的には270ページを超える見込みに。その場のノリというのはおそろしいものです。高級なノリになればなるほどよく燃やされる。
 

 ってなわけでなんだかんだ豪華になってしまいました。
 第九回創元SF短編賞大森望賞を受賞した織戸久貴同人の受賞後第一作や、『立ち読み会会報誌』の孔田多紀同人による「『異色作家』『奇妙な味』というタームの起源と発展」について十分でよくわかる解説もいまならついてくる。
 ゲスト原稿もゴージャスの極みです。
 表紙絵とカバーストーリーの掌編には『魔女の子供はやってこない』『〔少女庭国〕』の矢部嵩先生。
 インタビューには『呪いに首はありますか』『牛家』の岩城裕明先生、『刀と傘 明治京洛推理帖』の伊吹亜門先生のおふたり。
 岩城先生には「現代の異色作家」を切り口に、デビューから現在にいたるまでのさまざまなご活躍を語っていただきました。
 伊吹先生には11月に出たばかりのデビュー作『刀と傘』に関連し、作家としての御自身の源となった「14の短篇」についてサークルの先輩でもある織戸同人と対談していただきました。

 まあ概要はこんな感じ。ジャンルでくくるとミステリとかSFとかになるはず。
 事前予約・取り置き等も受け付けております。。
 ご希望の方は twitterの公式アカウント(@strange_fics*1かメールアドレス(strangefictionsdoujin@gmail.com)に、「受取人名と欲しい部数」を添えて御連絡ください。一部1000円です。
 通販は現在予定しておりません。予約分の受け渡しも原則的に文フリ当日の現地でのみです。


 で、おしながきやコンテンツごとのやや詳しめの内容を知りたい方は以下をご参照ください。画面はいずれも開発中のものです。

 

コンテンツ紹介

カバーストーリー

矢部嵩「私の好きな異色作家短篇集について」

 矢部嵩先生による寄稿。
 おじいちゃんと釣りに行ったときの思い出が書き綴られています。二ページほどの掌編ですが、あますところなく矢部嵩節が発揮されております。

特集:異色作家短篇集リミックス

創作パート

 企画趣旨:『異色作家短篇集』から各自好きな短篇(あるいは作家)を選んで、それを「リミックス」した短篇を書く。

九鬼ひとみ「十三子のショック」

リミックス元:リチャード・マシスン*2『十三のショック』

f:id:Monomane:20190102002620p:plain

 古今東西のホラー・怪奇コンテンツを語らせたら関西に並びたつもののいない博覧狂奇の怪人・九鬼同人。
 本作は元ネタの『十三のショック』に収録されている短篇をなるべくいっぱいリミックスしようという気宇壮大な志のもとに書かれた怪奇姉短篇です。
 作者は「富沢ひとし先生の『プロペラ天国』みたいに異なる姉がいっぱい出てくるとうれしい」みたいなことをお話になっていました。うれしくなるんじゃないかとおもいます。

紙月真魚「いつかの海へ」

フレドリック・ブラウン「雷獣ヴァヴェリ」

 夏の某日のこと。創作同人誌を立ち上げたはいいものの、メンツに(世代的な意味で)フレッシュさが足りない……と悩むわたしにある人物から一本の電話がかかってきました。
「ふふふ……。同人誌の参加メンバー集めに苦労しているそうじゃないか」
「あ、あなたは人気現役ミス研生の紙魚ちゃんこと紙月さん!?」
「《ストレンジ・フィクションズ》旗揚げ興行は立派にやれるッ!
 一人の超大物大学生がみやこメッセへ行き、きみと戦うからな!」
「エッ……そ、その超大物とは!?」
「わたしだよ。それとも紙月真魚は超大物ではないかな?」
「し、紙月さん!!!」
 あくまでうわさですが、このような感動的なやりとりがあったとされています。

 本篇は死んだ伯父の遺品から金魚石なるふしぎな石と伯父の書いた同人SF小説を発見した少年が、その小説を読み解くうちに「あること」に気づく……という叙情的な内容らしい。らしい、というのは1月1日現在、この短篇の完成稿があがっていないからで、もしかしたら同じブラウンリスペクトでも後ろを見ないほうがいい系の短篇に書き換わっている可能性があります。
 たぶん完成すると思います。完成するんじゃないかな。まあちょっとは覚悟しておけ(編集担当が)。
 姉は出てこないはずです。

浦久「象が地下鉄東西線に体当たり」

リミックス元:ウィリアム・コツウィンクル「象が列車に体当たり」

f:id:Monomane:20190102002742p:plain

 京都市営地下鉄東西線二条駅構内に忽然とゾウが出現し、いとけない京都市民を虐殺する話です。京都文フリで売る話か……。
 京都市民がゾウに踏まれて虐殺されるジャンルではたぶんナンバーワンなんじゃないかとおもいます。
 作者いわく「リミックスといえば古川日出男なので古川訳の『平家物語』の構成を用いた」と言っててふーんと思っていましたが、昨年十月に『MONKEY』のカバー特集に古川先生も参加していたの見、ささやかながらこれもシンクロニシティなのだと感じます。
 とらえようによっては姉もすこしだけ出てきます。

水月司「渚の邂逅」

リミックス元:レイ・ブラッドベリ「穏やかな一日」

f:id:Monomane:20190102002818p:plain


 本来水月同人は非人情的なぐらいピーキーでガチガチのパズラー本格ミステリを書くヒトです。なので最初「ブラッドベリでやる」と聞いたときはいささか不安を催したのですが、実際あがったのを読んでみると杞憂でした。
 クラシカルな本格短篇でありながらも、ブラッドベリの叙情がうまい具合に絡まっていい感じのバランスにおさまっています。この企画でしかやれないであろうラストも見事。知らないあいだに人間は大人になっていくのだなと感じました。
 執筆中は取材と称してずっと Don’t Starve と Civilization V に興じていたようですが、それらが作品にどのような形で反映されているのかは不明です。
 姉は出てきません。


織戸久貴「時間のかかる約束」

リミックス元:シオドア・スタージョン「孤独の円盤」ほか
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 第九回創元SF短編賞大森望賞を受賞した百合SFおよび姉ミステリの麒麟児による受賞後第一作。
 理に生きエモに死ぬ織戸同人が選んだリミックス元はもちろんスタージョンです。
 ある街に出現した謎の円盤と交信する妹、その妹に寄り添う姉、そして彼女たち姉妹の物語をつむぐ作家が巻き込まれるとてつもない実験とは。
 作者自身も謎の円盤と交信して「『天体のメソッド』をやれ」というメッセージを受け取り実行したところ、完成後の昨年暮に『天体のメソッド』第二期の発表があったといういわくつきの短篇でもあります。 
 創元SF代表としてハヤカワ『SFマガジン』を向こうに回して史上最大の百合決戦を単騎挑む織戸先生の姉妹SFミステリをよろしくおねがいします。
 
saitonaname.hatenablog.com


孔田多紀「特別資料」

リミックス元:スタンリイ・エリン「特別料理」
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殊能将之論の名著『立ち読み会会報誌』で斯界の話題をさらい、松井和翠さんの『推理小説批評大全 総解説』の巻末座談会にも招かれるなどここ最近のミステリ評論界でプレゼンスが急上昇中、気鋭の論客・孔田多紀同人も創作と評論の二刀流で緊急参戦。
 小説がまったく読まれることのなくなった近未来の日本で、学校の図書係に任命された少年が小説好きの図書館司書との交流をつうじてフィクションのよろこびに目覚めていく……と書くとほのぼのした小説讃歌のようですが、ところどころで垣間見せる突き放したクールさに批評性がしのんでいます。
 ある種の読書論でもあり、本同人誌全体に対する評論みたいな内容でもある。創作パートの棹尾をかざるにふさわしい小篇。
 姉は出てきませんが、心の持ちようによっては同級生というのも姉の範疇ではないでしょうか。

anatataki.hatenablog.com


インタビュー・座談会・エッセイ

異色作家・岩城裕明氏メールインタビュー

 聞き手は九鬼同人。現代の異色作家・岩城先生のデビューから現在までを一問一答方式で答えていただきました。文学フリマに出展した縁からとある本につながったり、デビュー当時に先生が志向していた形式についてのお話があったり、短いながらもなかなか豊かです。

参考文献解題(孔田多紀)

 孔田同人による「「奇妙な味」「異色作家」という語が発生し拡散するまで」を素描していく野心的企画。
 「奇妙な味」の首唱者である江戸川乱歩から発して都筑道夫小林信彦常盤新平中村融らにリレーされていくうちに微妙に変容しつつゆるやかな合意を形成していく過程がスリリングに書かれています。
 これさえ読めば、明日からきみも異色作家短篇集博士。

平成以後の異色作家について語る匿名座談会

 「参考文献解題」が「異色作家」のいままでの話だったするのならば、これは「異色作家」のこれからを語る座談会。参加者がもちよった「ぼくのわたしのかんがえた最強の現代異色作家ベスト5」を戦わせてナンバーワンを決める大会です。いや、実際に戦わせはしませんが。
 やたらネームドロップしているだけの内容に見えるかもしれませんが、そのこと自体が「異色作家」や「奇妙な味」をめぐる状況をあらわしているともいえますね。
 巻末には座談会に出席できなかった九鬼同人のベスト5とコメントも掲載。

異色漫画エッセイ(仮)(紙月真魚

 まんが大好き紙月同人が選ぶ現代の異色漫画短篇リスト&コメント。一月一日現在、まだ完成していないようなので、詳しいコメントは差し控えます。

二〇一八年の新作異色映画(浦久)

 二〇一八年に公開された新作映画のなかで浦久同人が「異色っぽい」と思ったものをあげたリスト&コメント。ラインナップは見てのお楽しみ。

小特集:伊吹亜門

ロングインタビュー 伊吹亜門と十四の謎

 昨年11月に東京創元社から『刀と傘 明治京洛推理帖』でデビューするや法月綸太郎綾辻行人辻真先、青崎有吾など斯界の本格玄人たちから絶賛を集めた今日本ミステリ界最注目の新人、伊吹亜門先生のロングインタビュー。聞き手はサークルの先輩でもあり、デビュー前から伊吹先生を見守り共に研鑽に励んできた織戸同人。
 「伊吹亜門」という作家を形成した十四の短篇たちをその読書経歴(小学生から現在まで)とともにシロノワールより濃厚に語りおろしていただきました。
 思い入れ深い十四の短篇ひとつひとつが『刀と傘』の要所要所にパズルのピースのごとくはまっていくさまはそれ自体本格ミステリの解決編のような快感。ほとんど「メイキング・オブ・『刀と傘』」の趣です。

 伊吹亜門を読まずして二〇一九年を語るなかれ、
 本インタビューを読まずして伊吹亜門を語るなかれ。

小論――情念小説としての『刀と傘』解説(織戸久貴)

 織戸同人による「今現在、世界で最も詳しい『刀と傘』解説」。連城三紀彦の小説に対する巽昌章の「反―情念小説」というタームを援用しつつ、連城と『刀と傘』をあざやかに対比させ、伊吹亜門という作家をミステリ史のなかに位置づけた力作。今度の伊吹亜門論の試金石となるであろうことは間違いありません。
 


 こんなかんじ。
 繰り返しになりますがこういうのは末尾にもあったほうが便利なので書いておくと、
 事前予約・取り置き等もやっておりますので、
 ご希望の方は twitterの公式アカウント(@strangefictions)かメールアドレス(strangefictionsdoujin@gmail.com)に
「受取人名と欲しい部数」を添えて御連絡ください。一部1000円です。

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