前回までのあらすじ
作業がおわらない。
選考基準
・あんまり盛り上がりまくられると困る*1
・聴いてて心地いい
・チルいやつ
・チルすぎても眠くなるよね
・だいたいサブスクリプションサービスにおいてある。
・いうて八割方プレイ済みで、知らないゲームがなくないですか。
10選
『Florence』ーKevin Penkin
・ピアノとチェロを中心にオーソライズされたやさしい音色。
・作業用としては一番向いているかもしれない。
・ペンキンは日本ではアニメ版『メイド・イン・アビス』の仕事で有名。
・一枚のなかでメリハリが作業的にいい意味で効いているのもヨシ。
・使われている楽器の関係性がゲームに出てくるキャラの関係性に反映されてるんだけど、そんなことを考えていたら作業はできないので忘れろ。
『FEZ』ーDisasterpeace
・チルくてシンセなインディーゲーム音楽でも最高峰の名盤。
・Disasterpeace はもともと『FEZ』『Hyper Light Drifter』といったインディーゲームの話題作で名を馳せていたけれど、近年では『イット・フォローズ』『アンダー・ザ・シルバーレイク』『トリプル・フロンティア』といった映画音楽の分野にも進出。
・『FEZ』はインディーゲーム期のディザスターピースの仕事でも最良のもの。本人曰く、作曲当時はドビュッシーやラヴェル、チリー・ゴンザレス*2の『Solo Piano』、ジャズピアニストのエロール・ガーナーに影響を受けたらしい。*3
・特に「Spirit」は単曲で無限ループできる。
・『Hyper Light Drifter』のサントラも悪くないけれど、作業用としては荒涼としすぎている感が。
『rain』――菅野祐悟
・ドラマに映画にひっぱりだこな国民的コンポーザー菅野祐悟の珍しいゲーム仕事。PS3のダウンロード専売(のちにパッケージも出たはず)。
・アコーディオンを使ったノクターン(自称)なタンゴだかミュゼットだかが癒やされる〜〜〜。
・Apple Music にも Spotifyにもないが、Amazon Primeにはある。
『Minecraft Volume Alpha』――C418
・言わずとしれた『マインクラフト』のサントラ。わたしは工作苦手なのでやったことありません。
・もともと作業するゲームのために作られたためか、作業を邪魔しないけど耳に心地いいアンビエントな曲ぞろい。第二弾?の『Volume Beta』はもうちょっとダークなテイストが強まってる気がする。
『Monument Valley』――Stafford Bawler
・睡眠導入剤か?ってレベルでぶわんぶわんしている。
・追加DLC用のサントラ『Monument Valley: foggoten shores』もおすすめ。ややこしいけど『Monument Valley 2』のサントラは別にあってそっちもわりと使える(コンポーザーは Todd Baker)。
『Hotlime Miami』――いろいろ
・見下ろし型虐殺ゲーム『ホットライン・マイアミ』のサントラだけれども、この盤はミニマルにだんだん脳に効いてきて、つまり作業に向いてる。
・サントラは soundcloudでしか売ってないけど、いい感じに使える部分は spotifyとかに置いてある Scattle の『Hotline Miami: Take down EP』で聴ける。
・っていうか、かなりの収録曲をオフィシャルにタダで聴ける。
soundcloud.com
・80年代のシンセ音楽を再解釈したシンセウェイヴとやらのジャンルのゲーム界隈におけるはしりのひとつとされる。ちなみにシンセウェイヴを採用したインディーゲームタイトルで最も有名なのが『VA-11 HALL-A』や『2046: Read Only Memories』。そういう理解でいる。他にもど直球に志向してるとこだと『Neon Drive』や『crossing soul』のサントラなんかがある。ああいう系は Steam を「1990年代」タグで探せばザクザク出てくる。2010年代erにとっては90sも80sも同じにおいのノスタルジーだ。
『Secret Little Haven』――Victoria Dominowski
・で、シンセウェイヴに近接したジャンルとしてヴァイパーウェイヴが今をときめいているわけですけれど、インディーゲームにもヴァイパーウェイヴを取り込もうとする動きはあるようで、バカ正直にヴァイパーウェイヴのMVっぽいウォーキングシミュレーターを作りましたみたいな作品が散見されるもののいっこもおもしろそうでなく、『LSD』フォロワーと混線を起こしている始末。
一方で『Hypnospace Outlaw』の登場でにわかに脚光を浴びつつあるのが「1990年代のパソコンのデスクトップ&インターネット再現シム」ゲーム*4で、そういう意匠でフェミニズム寄りに視点を当てたのが『Secret Little Haven』、らしい。
・らしい、というのはもちろんプレイしてないからで、それはともかくサントラはまさに90年代の再解釈としてのヴァイパーウェイヴが活かされていてチルい。ヴァイパーウェイヴというジャンルのことは現象としてはともかく楽曲としてはあんまり興味ないので本当にヴァイパーウェイヴかどうかは知らない。*5
・ちなみにサントラは Bandcamp でしか買えない。良いサントラに限ってそうなんだ。
『The Red Strings Club』――fingerspit
『Kingdom: New Lands』――ToyTree, Amos Raddy
・タワーディフェンスという本来は忙しないジャンルであるにもかかわらず、計画された冗長さをプレイヤーに強いてくるRTS『KINGDOM』シリーズ。そんな狂気のバランスが産んだサントラは、奇跡のリラクゼーションを放ちます。
・もちろんシリーズ作品である『Kingdom Ost』と『Kingdom: Two crowns』もヨシ。
『Mini Metro』――Disasterpeace
・スティーヴ・ライヒやフィリップ・グラス、そしてノーマン・マクラーレンのアニメを参考にして誕生した、無限に聴ける作業用ミニマル・ミュージック。Disasterpeace のマスターピース。
・なんだけど、サントラが発売されていない。IGFアワードを始めとした各賞のベスト・オーディオ部門にノミネートされたにも関わらず。
・なぜなのかといえば、mini metro の「サウンド」はプレイ中のアクションを通じてプログレッシブに生成されるものであり、通常の意味における楽曲など存在しないからだ。
・そういうわけで作業用BGMにしたければ、こういう動画をサントラの代わりにするしかない。コメント欄曰く「ADHDに効く」らしい。
www.youtube.com
思いついたけど様々な理由から選から漏れた。
『Luna』――Austin Wintory
・幻想的な雰囲気をもつVRゲームのサントラらしいが、未プレイなので詳しいことはよくわからない。ゲーム自体の評判は微妙。
・オースティン・ウィントリーは『風ノ旅ビト』の人といえば一番通りがいいかもしれない。AAAからインディーまで手広く作曲しており、最近では『アサシンクリード:シンジケート』や『Tooth and Tail』、『The Banner Saga』シリーズなどがノータブル。
・幻想的な雰囲気を残しつつ、もうすこし盛り上がりも欲しいよ〜という欲張りさんは『Abzû』のサントラを聴け。
『FTL: Faster Than Light』――Ben Prunty
・ピコピコ感がほしいならこれ。
・一曲ごとに曲調が乱高下するところがあるので、安定感がほしいなら順番をいじれ。
・もうちょっと爽やかにアゲアゲで行きたいなら『the messenger』。
『diaries of a space janitor』――Sundae Month
・エスニックでドローンでありつつもノレる感じ。
・「Incinerate」だけテンション浮いてるので外してもいい気がする。あと歌付きのやつも数曲入っているけれど、意味をなさない架空言語。気になる人は気になるか。
・難点は Bandcamp でしか手に入らないこと。
『Thomas was Alone』――David Housden
・ミニマルっぽいといえばTwAのサントラは外せないよね。
『OneShot』――Nightmargin
・暗め曲調のものが多い。
・42曲が一時間半におさまっているため切り替わりが激しいけれど、似たようなテイストばかりなのであまり気にはならないか。
・最後の「It’s Time to Fight Crime」だけはやたら勇ましいでの作業用にするときは外してもいいかも。
上記のやつを雑にまとめたやつ+αプレイリスト
・そこ(Spotify)にないものはないですね 。
*1:まあ世の中には『Undertale』のサントラを作業用BGMにしている人もいらっしゃるようなので好き好きなんでしょうが
*2:日本でも去年ドキュメンタリー映画『黙ってピアノを弾いてくれ』が公開されて話題になった
*3:http://disasterpeace.com/blog/in-depth-fez
*4:90年代のパソコンの画面上で繰り広げられるアドベンチャーはそれなりに前から存在して、最近だと『Her Sotry』や『Emily is Away』なんだろうけれど、それより更に前にもうひとつマイルストーン的なのがあったはず。思い出せなくて気持ち悪い。
*5:SLHのはちょっと洗練されすぎてる気がする。